コラム
事務局だより<No.15> 気仙沼大島大橋見学会を実施しました。
2019年7月8日
当協会では、2019年7月4-5日に23名の参加を得て、気仙沼大島大橋見学会を実施しました。
7月4日(木)は、気仙沼の造船業を絶やさないために震災後に4つの造船会社が一緒になって設立された(株)みらい造船所を見学しました。その後、陸前高田市へ移動しその復興状況を語り部の案内で見学しました。
7月5日(金)は、光ファイバセンシング手法を取り入れた橋梁モニタリングを進めている気仙沼大島大橋を見学しました。
<(株)みらい造船所>
世界三大漁場の一つである三陸沖沿岸に位置する気仙沼の漁港は、東日本大震災で波打ち際に位置する造船業者の設備の多くが破壊されました。(株)みらい造船は、2015年5月に、気仙沼の造船業を残すべく4つの造船業者が合併しさらに他の3社が出資して設立されました。(株)みらい造船の木戸浦社長に新施設の案内をしていただきました。ここでは、船を海から引き揚げる上架施設に「シップリフト方式」を採用し、船を台に乗せて斜面を引き上げる従来の斜路式に比べ、船の横転リスクが軽減され、作業効率も格段に上がるとのことです。今後、多くの船がここ(株)みらい造船から出航してくことを願うものです。
(株)みらい造船で説明を聞く参加者 (株)みらい造船 シップリフト
<陸前高田市>
震災では2000名に近い人的被害(死者、行方不明)が発生しました。かさ上げを中心とする復興は急ピッチで進んではいるものの、現在でもあちこちで大型重機が土を掘り起こしています。地元の方が安心して住める街づくりが進められることを願ってやみません。
工事中の陸前高田(右前方が奇跡の一本松) 語り部の説明を聞く参加者
<気仙沼大島大橋>
宮城県が「復興のシンボル」として整備を進めてきた「気仙沼大島大橋」は,2019年4月7日に供用を開始しました。大島架橋事業は,大島地区の住民が東日本大震災時に長期間にわたり孤立を余儀なくされるなどその必要性が再認識されたことから,復興のシンボル事業として2011年度に着手されました。計画ルートは,震災を踏まえて津波の浸水高を考慮した高さとし三陸自動車道へのアクセスや防災集団移転計画など気仙沼市のまちづくり計画とも調整を図り,2019年春の完成・供用を目指し進められてきました。今回の開通により,大島と本土が陸路でつながり,大島地区住民の日常生活における利便性の向上や救急医療活動への支援,観光交流や産業の活性化などが期待されています。
気仙沼大島大橋においては、経年変化・異常時の健全性を把握し予防保全管理することを目的に、光ファイバセンシング手法を取り入れた橋梁モニタリングが開始されています。本見学会では、橋梁内部(アーチリブおよび補剛桁)に入り、FBGロングセンサの設置状況を見学しました。
気仙沼大島大橋 位置 FBGロングゲージ配置図
補剛桁へ入る様子 FBGロングセンサ 設置状況
システムラック 説明を聞く参加者
参加者全員で(気仙沼大島大橋(本土側)にて)
光ファイバセンサが実際に敷設されている現場を見るのは初めての参加者も多く、大変収穫の多い見学会となりました。
見学会実施にあたり、宮城県土木事務所大島架橋建設班、(株)KSK(構造診断研究所)、(株)みらい造船のご協力をいただきました。大変ありがとうございました。
気仙沼大島大橋に関する資料は こちら を参照ください。
(事務局長)