光ファイバセンサ概論
01_光ファイバのセンサ利用
光学(オプティクス)と電子工学(エレクトロニクス)が融合して生まれた光電子工学(オプトエレクトロニクス)により、レーザ(発光素子)やフォトダイオード(受光素子)に代表されるデバイスが実用化され、それらのデバイスはレーザプリンタや大容量光ディスク、太陽電池などに利用されています。
また、光電子工学は光ファイバの登場によって通信分野も進歩させてきました。低損失、高信頼性、低コストの光ファイバが、現在のブロードバンドネットワークの基幹線を担っていることはご存じのとおりです。
通信用光ファイバは、ある地点でレーザから入射させた光を損失や分散を最小限にとどめて、他の地点、場合によっては増幅器なしで数十キロメートルも先の地点まで届けることができます。
通信の世界では、光ファイバの中を光が伝搬するときに、その光が外部からの影響を受けないようにしなければなりません。一方、伝搬光が外部から影響を受けるという事実は、実は外部の影響そのものを計測する、すなわちセンサとして利用できるということを意味します。
光ファイバをセンサとして利用する試みは、低損失の石英系光ファイバが実用化された1970年代当初から始まりました。その後、新しい計測原理やデバイスの発見・発明、様々な分野でのセンサ活用の拡大・高度化、光通信の発展に伴ったデバイスの低コスト化によって、多くの新しい計測手法が産み出され、実用・応用されてきました。
その中には、従来の電気式のセンサにはない性能や特徴を生かし、これまでに測れなかった対象や場所にも適用ができるものがあります。また、より高い信頼性・精度が必要、広い領域を効率的に測りたい、といった要望に応えることもできます。
本章では、新しい計測技術として期待が寄せられている光ファイバセンサについて、その概要を述べ、利用する上で重要なシステムの概念をまとめました。
図1 光ファイバのセンサ利用