コラム
寄稿《Asia-Pacific Optical Sensors Conference (APOS:アジア太平洋光センサ国際会議)に参加して》 古川靖(横河電機(株))
2018年6月2日
島根県松江市くにびきメッセで開催された ”Asia-Pacific Optical Sensors Conference (APOS:アジア太平洋光センサ国際会議)” に、横河電機(株)の古川靖様が参加されましたので、寄稿して頂きました。
* * * * *
はじめに
第7回アジア太平洋センサ会議(APOS 2018)に参加した。開催地の松江は、ソウル・済州・香港から空路でアクセスでき、アジア太平洋地域から参加しやすい場所にある。宍道湖に面したこの水の都に特有の落ち着いた趣のなかで、市街の喧騒を離れて学術会議に専念することができ、多くの参加者と交流できたことはとても有意義だった。松江駅から徒歩圏内にある会場のくにびきメッセは、数百人を収容可能なカンファレンスホールのほか、ポスターセッションと企業展示エリアを含む大きな展示ホールがあり、国際会議を行うのに十分なすばらしい設備を有していた。展示ホールの半分にはレセプション等を行う休息エリアが設けられ、軽食や飲料などが十分に用意されており、Chairの中村先生をはじめ会議運営を担当されている方々の細やかな心配りが行き届いていた。
くにびきメッセ 受付の様子
Oral session
プログラム上はプレナリートークからPost Deadline Paperまで全部あわせて56の発表が組まれており、Invited paper 1件+3~4件のNormal paperを1 sessionとして、午前2 session、午後2 sessionが行われた。日本・韓国・中国のほか、米国・ドイツ・オーストラリアなどから発表があり、件数としては中国の発表が多かったように思う。セッションテーマは、分布型光ファイバセンサ、FBGに多くの発表があった。それ以外にバイオセンサ、Specialty Fiber、Photo device、イメージングなど多岐にわたる広範な領域に発表があったことはAPOSの認知度が高いことのあらわれではないだろうか。磁気センサや塩分センサなど新しい物理・化学センサの提案がある一方で、それらをフィールドでの使った実事例の報告もあり、それぞれに興味深いものがあった。Oral sessionはいつも100名ほどの聴講者が熱心に耳を傾けていた。
オーラルセッションの様子 休憩時間のお茶会
Poster session
他の学術会議と同様に若い研究者や学生の発表の場として活用されていた。
ポスターセッションの様子
Exhibition area
10社の展示があった(アンリツ、Femto Fiber Tec、G&H、HBM、High-Tech、レーザック、長野計器、沖電気、サン・インスツルメンツ、光ファイバセンシング振興協会)。波長可変光源を用いたOFDRを展示したアンリツのデモは、実際の動作を見ることでその特徴がよく伝わってきた。他にも長野計器ほかの企業が実機を持ち込んでいた。このように多くの光ファイバセンサ企業が一堂に会することはすばらしい機会であり、今後はさらに多くの企業が増えることが期待される。
アンリツ(株) FemtoFiberTec GmbH Gooch & Housego Japan(株)
スペクトリス(株)HBM事業部 (株)ハイテック (株)レーザック
長野計器(株) 沖電気工業(株) サンインスツルメント(株)
まとめ
閉会時の報告によれば、論文総数147(招待講演等含む)(内訳 オーラル56件、ポスター91件)、参加者総数184名(うち学生64名)、企業参加10社とのことであった。
発表件数も多く、参加者それぞれに新しい発見を得られたのではないだろうか。アジア太平洋からセンサ技術を発信する場として、APOSが今後もますます発展していくだろうという明るい兆しを感じた。
次回は18か月後の2019年11月、ニュージーランド Aucklandで開催予定である。南半球での11月はとても快適とのことで、楽しみにしている。
(横河電機(株) 古川靖)
APOS2018(Asia-Pacific Optical Sensors Conference)は こちら