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光ファイバセンサ概論(6)

基礎編<その1>(10)

基礎編<その2>(10)

基礎編<その3>(10)

基礎編<その4>(3)

設計編<その1>(10)

設計編<その2>(3)

施工保守編<その1>(10)

施工保守編<その2>(10)

施工保守編<その3>(7)

コラム(11)

基礎編<その2>

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10_光ファイバの分岐

事務局
光ファイバセンサは、図1、2に示すように1本(1心)の光ファイバに複数のセンサを多点に接続できるという特長があります。このような多点接続の場合には、光分岐器(光カプラ/スプリッタ)や光サーキュレータという光部品を利用して構成します。

図1 
図1 光ファイバセンサの多点接続(FBGセンサなど)

図2
 図2 光ファイバセンサの多点接続
(ファラデー近接センサ/BOFセンサなど)

光分岐器とは、一心の光ファイバからニ心以上の光ファイバに分岐させたり、逆に合流させたりする素子です。

図3に示すような2本の光ファイバを融かして融合させた溶融型光カプラや、図4に示すようなシリコン基板上にガラス導波路を形成したPLC (平面光波回路:Planar Lightwave Circuit)により、16分岐、32分岐などの多分岐が可能なスプリッタと呼ばれる素子もあります。

また図5に示すように、内部に波長フィルタの機能を持ち、特定の光波長のみを分岐させることができるWDM(Wavelength Division Multiplexing)光カプラなどがあります。
 
図3
 図4
2✕2分岐光カプラ

図5 
1✕4分岐光カプラ
図3 溶融型光カプラの例
 
図6
64分岐スプリッタの例

 図7
図4 PLC(平面光波回路)を利用した分岐器(スプリッタの例)

図8
 図5 特定波長の光のみを分岐するWDM光分岐器(WDMカプラ)の例

WDMカプラを利用して波長多重により光ファイバセンサを多点接続する場合の構成例を図6に示します。

光源には波長多重に利用する波長の光を含む広帯域光源などを利用します。

透過型/曲げ/遮断型光ファイバセンサを利用する場合には図6(a)、ファラデー近接センサなどの反射型光ファイバセンサを利用する場合には図6(b)のような光学系を構成して多点接続することができます。

なお、光ファイバセンサには、「センサ部がガラスの受動部品」という特長がありますが、溶融型カプラ、WDMカプラ、光サーキュレータという素子もガラスの受動部品ですので、電源レスで動作、また壊れにくいという特長は同じです。
図9
(a) 透過/曲げ/遮断型光ファイバセンサの場合

図10
 (b) 反射型光ファイバセンサの場合
図6 WDM(波長多重)を用いた多点接続の例

一方、溶融型光カプラでは、光が通過する度に分岐による3 dBの光損失が発生します(分岐比50:50の場合)。

光源から光ファイバセンサに向かう際に3 dB、さらに光ファイバセンサから受光器に向かう際にも3 dBの光損失が発生するため、結局、光源から出射された光は、受光器で受光されるまでに合計6 dBの光損失を溶融型光カプラから受けることになります。

この光損失はダイナミックレンジや測定感度を低下させます。これを解消するために光サーキュレータを利用することがあります。

光サーキュレータとは、図7に示すように端子Aから入射した光は端子B側のみに出射し端子C側には出射せず、また端子Bから入射した光は端子A側には出射しないという特性を持った光分岐器です。

図11
図7 光サーキュレータの特性

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