施工保守編<その2>
13_BOTDR方式での設計・施工の留意事項は何ですか
BOTDR方式の特長は、光ファイバセンサの全長に亘って歪の発生が把握出来ることです。使用される光ファイバセンサは、一般に通信用に使用されるシングルモードタイプのものであり入手が容易です。この方式で計測する場合気を付けなければならないのが、光ファイバに発生する歪には引っ張りや圧縮による力学的歪と温度差による膨張、収縮の温度歪のふたつが同時に含まれていることです。測定器ではこのふたつを分離出来ないので、計測する場合は、計測用光ファイバセンサに沿ってあらかじめ温度補正用の光ファイバを併設しておき、全区間に亘って温度歪を除去する補正を行い必要な力学歪の情報を取り出す工夫が求められます。
図1 BOTDR計測での施工例
またこの際、温度補正用の光ファイバと計測用光ファイバの計測位置が合致するようにしないと得られた歪情報が意味をなさなくなるので注意が必要です。BOTDRは一回の計測に数分から十数分かかるので短い時間で温度が大きく変化するような場所での測定には不向きで工夫が必要となります。なお、光ファイバセンサが変状により撓(たわ)んでもすぐに変状を検知できるように、光ファイバセンサはあらかじめ布設時に適度の初期テンションをかけておく必要があります。最近ではBOTDRで温度測定を行うことも可能になって来ています。BOTDRでは光ファイバの見掛け上のセンサ長(空間分解能)は1 m程度なので、得られた歪や温度は光ファイバの距離方向1 mの平均値であることにも注意が必要です。