基礎編<その1>
06_光ファイバセンサシステムの接続
光ファイバセンサに光コネクタは使えます。
光ファイバセンサには、FBGを利用した光ファイバ水位計や、磁石の近接を光の反射で検知するファラデー近接センサのような特定箇所の状態を計測する「ポイント型光ファイバセンサ」や、光ファイバ自体がセンサとなり、長手方向の歪や温度の分布を計測することができる「分布型光ファイバセンサ」があります。
いずれの場合も、光源や受光器あるいは計測器と接続して利用します。通信用光ファイバの接続は、光コネクタを用いて接続する方法と、光ファイバの先端を融かして接続する融着接続による方法とがあります。
光ファイバセンサも同様で、ポイント型光ファイバセンサの場合には、光ファイバセンサから出ている光ファイバに光コネクタを取り付ければ、光コネクタ同士で接続することができますし、光ファイバセンサから出ている光ファイバを、通信用光ファイバに融着接続することもできます。
光源や受光器あるいは光計測器との接続は、光コネクタで接続する場合が一般的です。光コネクタを使う場合には、光コネクタ端面での接続損失の他、汚れによる接続損失の増大や光コネクタ端面での光反射量について注意が必要です。
図1に示した一般的に利用されている光コネクタは、接続損失は0.5 dB以下、反射減衰量(反射率)は40~60 dB以上です。図2に示すように、反射量を少なくするために端面を斜めに研磨した光コネクタなどもあります。
図1 光コネクタの例 (接続損失0.5 dB以下)
図2 光コネクタ端面の種類
図2のように、光コネクタの端面の形状(研磨の種類)によって、光コネクタ部での反射減衰量(反射量)が異なるので注意が必要です。
光ファイバセンサを計測器に接続する場合など、光コネクタでの光の反射が計測器に戻り光として入った場合、計測に影響を与える場合がありますので、SPC研磨やAPC研磨した光コネクタを採用し、光コネクタでの反射量を低減させます。
光電話、光ブロードバンドといったFTTH(Fiber To The Home)に代表されるように、産業用途から一般家庭まで、光ファイバの普及が広く進んでおり、光ファイバの接続(融着作業)は、特別な知識が無くても容易に行えるようになってきました。最近では、図3に示すような現地で加工ができる光コネクタも製品化されています。
図3 現場で加工が可能な現場組立型光コネクタの例
光ファイバの接続方法には、光コネクタ接続の他、融着接続による方法があります。
融着接続とは、光ファイバの端面を高温で融かして接続する方法です。光ファイバの光の通り道であるコアは、シングルモード光ファイバでは約8 µm、マルチモード光ファイバでは約50 µmと非常に細く、これを目視で突き合わせて接続することは困難です。
そのため、融着接続には、図4に示すような融着接続機を利用します。
融着接続機による接続では、光ファイバを専用のカッタで切り、端面を整えてから、融着機にセットして接続ボタンを押すと、自動的に調心し、放電によって光ファイバ端面を高温にして融かして光ファイバを接続します。この接続部は補強スリーブで保護します。
写真はコア直視型の融着機の例ですが、光ファイバの側面から光をあてて、内部のコアを液晶ディスプレイに写し出します。光ファイバをセットして、操作ボタンを押すことで、コアのズレを補正して接続します。
融着接続による接続損失は、0.1 dB以下です。最近の融着機は性能が向上しており、0.05 dB前後と、光コネクタによる接続と比べると1/10程度の接続損失で接続することができます。このため、長距離の光ファイバケーブルでは、接続箇所は融着による方法が用いられています。
図4 光ファイバ融着機の例
表1 光ファイバ融着機の仕様例
融着接続では光ファイバ心線またはテープ心線の被覆を剥いで接続していますので接続部分は図5に示すような熱補強スリーブで保護します。
図5 熱補強スリーブの例
光ファイバケーブルを屋外のケーブル線路の途中で融着接続したり、光コネクタ接続したりする場合、屋外接続箱を利用します。屋外接続箱には、埋設管のハンドホール内などで使用する防水性の高いクロージャタイプや、成端接続箱と呼ばれる収納箱タイプの屋外接続箱があります。
クロージャの例を図6に、クロージャによる接続形態の例を図7に示します。また成端接続箱の例を図8、接続形態の例を図9に示します。成端接続箱は、計測器を設置する屋内での配線工事や、光ファイバセンサ設置個所の光コネクタ接続などで利用します。
図6 接続/分岐に利用する屋外接続箱(クロージャ)の例
図7 クロージャによる接続/分岐の例
図8 接続/分岐に利用する成端接続箱の例
図9 成端接続箱による接続形態の例