基礎編<その1>
02_光にはどのような性質がありますか<2>
屈折
屈折は、屈折率が異なる2つの媒質の境目で発生します。たとえば、水と空気の場合、水の屈折率は約1.3、空気の屈折率は約1.0で、図6に示すように、光の入射角θ1に対して、媒質の境目で光が曲がり、屈折角θ2で空気中へ出射されます。
入射角に対する屈折角は、2つの媒質の屈折率の比によって変化します。このような屈折現象は、媒質の種類によって媒質内を伝搬する光の速度が異なることで発生します。
たとえば、空気中や真空中では、光の速度は30万km/sと言われていますが、水中では23万km/sで光の速さは遅くなっています。
図6 屈折現象(水中から空気中へ)
図7に示すように、入射角を大きくしていくと、屈折角はついには90度となり、光は空気側には出ず、すべて反射されるようになります。このときの入射角を臨界角と呼びます。
さらに臨界角を越えて入射角を大きくすると、図8のように光は媒質の境目ですべて反射します。この現象を全反射と呼びます。全反射の状態では、すべての光が反射しますので、空気中に光は出ません。
図7 臨界角
図8 入射角を大きくしていくと全反射する
図9に示すように、光ファイバでは、媒質Aがコア(ガラス)、媒質Bがクラッド(ガラス)で、コアの屈折率を1.467、クラッドの屈折率を1.462程度になるように不純物を加えるなどしてコアとクラッドのガラスの屈折率を変えています。
入射角が臨界角よりも大きな光のみが全反射し、臨界角よりも小さな入射角の光は、光ファイバの外へ出てしまいます。このように、光ファイバ中のコアとクラッドの境目で光を全反射させることで遠方まで光を伝搬させています。
図9 光ファイバの場合の全反射現象
一方で、光ファイバを光ファイバメーカーが規定している最小曲げ半径以下に曲げると、コアとクラッドの境目への光の入射角が大きくなって、全反射せずクラッド側から光ファイバの外へ光が漏れる現象が発生します。このため光ファイバを扱う場合には、最小曲げ半径よりも小さな曲げを加えてはいけません。
通信用光ファイバでは、コアは光ファイバ断面の中央に配置しますが、図10に示すような、コアを意図的にずらして製造した偏心コアファイバを利用した光ファイバセンサもあります。コアを偏心させることでクラッド層の薄い部分を作り、クラッド層から外部へ滲み出た光が、油などの光ファイバ表面の付着物(油など)の影響を受けやすくすることで、油などの漏えいを検知するものです。
図10 偏心コアファイバによる光ファイバセンサの例