基礎編<その1>
05_光ファイバセンサでの計測
光ファイバセンサで計測できる物理量としては、温度、歪、圧力、振動、電流といった基本的な物理量はほとんど計測が可能です。代表的な光ファイバセンサの例を以下に示します。
● OTDR:光ファイバの曲げによる損失発生位置や断線位置を検知
(詳しい原理は4-1-18を参照)光ファイバケーブルの保守用として一般的に使用されている[センサとしての用途例]落石検知、水門開閉検知など
● ROTDR:光ファイバの長手方向の温度分布を計測
(詳しい原理は4-1-19を参照)[センサとしての用途例]プラント施設、電力ケーブルの温度監視、トンネルの火災検知、データセンタ内の温度分布計測など
● BOTDR:光ファイバの長手方向の歪、温度分布を計測
(詳しい原理は4-1-20を参照)[センサとしての用途例]橋梁、構造物の歪分布計測、斜面崩壊検知など
● FBG:光ファイバに形成された回折格子の反射光を利用して各種物理量を計測
(詳しい原理は4-1-21を参照)光ファイバのFBG部に応力が加わる機構を付加して、圧力や振動などを計測することができる。また、温度も計測できる[センサとしての用途例]構造物の歪、振動、変位計測、水位計、流速計、温度計、圧力計など
● BOF:誘電体多層膜の膜厚さの変化を計測
(詳しい原理は4-1-24を参照)光ファイバの端末部に誘電体多層膜を形成させたセンサであり、温度、圧力および振動などが計測できる[センサとしての用途例]プラント施設の温度、振動、圧力計測など
● ファラデー型センサ:
磁界の変化で光の偏光面が回転する現象を利用して、電流の計測または磁石の近接を検知(詳しい原理は4-1-25を参照)[センサとしての用途例]高圧線の電流計測、雷撃位置標定、近接センサ、ゲートの開閉検知、侵入検知、土石流検知、雨量計、浸水検知(液面検知)絶縁性を持つ光スイッチなど
● 干渉計型センサ:2つの波の合成による干渉現象を検出
(詳しい原理は4-1-26を参照)[センサとしての用途例]振動、加速度、温度、磁力、衝撃計測および地震計、ソナーなど
● 光ファイバジャイロ:サニャック効果による干渉を検出
(詳しい原理は4-1-27を参照)[センサとしての用途例]羅針盤、姿勢制御センサ、角速度センサ、電流センサ、侵入検知など
● 偏光型センサ:光の偏波変動を計測
[センサとしての用途例]土石流の監視、回転機器の振動計測、侵入センサなど(詳しい原理は4-1-28を参照)
● 透過/遮断型センサ:
光ファイバの曲げや断線による光伝送損失の増加を計測[センサとしての用途例]土石流の監視、斜面崩落検知、侵入検知など(詳しい原理は4-1-29を参照)
● その他センサ
本書では紹介していませんが、その他のセンサとして以下のものがあります。
◇ 光ドップラーセンサ:ドップラー効果を利用して加速度を計測
[センサとしての用途例]プラント施設の振動計測など
◇ 化学センサ:原理はさまざまですが、各種化学量が計測できます
[センサとしての用途例]ガス、腐食など