コラム
C06_コヒーレントとは?
光ファイバセンサシステムや光通信でよく耳にする言葉として「コヒーレント(coherent)」という言葉があります。形容詞なので名詞形ではコヒーレンス(coherence)と言いますが、日本では意識せずに同じように使われることが多いようです。実際に光ファイバセンサシステムなどでは、使用する光源の特性を表現する場合などに使います。日本語に訳すと「干渉性」とか「可干渉性」という意味になります。
光ファイバセンサシステムでは各種の光源を使用します。その光源の特徴を表現する場合に「コヒーレンスが良いとかそうでない(インコヒーレンス)」と表します。「コヒーレント光源」とは光の位相や振幅が揃っているものをいい、一般的にはレーザ光源のことを指します。
「インコヒーレント光源」は太陽光や白熱電球、白色光源のような帯域の広いものを意味します。可干渉性を分かりやく表現すれば「干渉のしやすさ」ということなので、たとえば、半導体レーザでは線幅(レーザのスペクトラムの幅)が狭いほど干渉しやすい(可干渉性がよい)のでコヒーレンスだと表現します。
光ファイバセンサシステムで干渉を利用しているシステムの場合は光源としてコヒーレントな光源が必要となります。
光ファイバセンサシステム以外でコヒーレンスが重要になった例としては、光ディスクドライブ内の光ピックアップがあります。
CD/LD/DVDなどに使用していた半導体レーザは光ディスク面や使用している光学部品からの反射光(戻り光)が、半導体レーザ自体の発振特性に影響を与えてしまうことがあるため、半導体レーザ自体の距離による可干渉性の測定を行い光学部品などの最適配置をしていました(「コヒーレント長測定」と呼ばれ、設計時の光学部品配置の重要なパラメータの測定でした)。
その他、光通信においては光源として使用する半導体レーザの特性を表現するために使用することがあります。また、現在実用化されている強度変調(光のON/OFF)の方式でなく光の波としての性質の周波数や位相を利用した光通信方式のことを「光コヒーレント通信」とも呼んでいます。