基礎編<その4>
28_偏光型センサはどのように計測を行うか
図1 電磁波と偏波
模式的に電界面の方向を偏波の方向と呼ぶことにします。偏光型センサは、光ファイバ中を伝搬する光が、光ファイバに加わる応力によって偏波方向が変動する(回転する)現象を利用したセンサです。
図2のように、偏光子と呼ばれる素子を光ファイバの両端に挿入します。
偏光子は、いろいろな偏波方向を持つ光のうち、あるひとつの偏波方向の光のみを透過させます。光が光ファイバ中を伝搬するときに、光ファイバに外部から応力が加わると偏波方向が回転します。
これを光ファイバのもう一方の片端の偏光子に透過させると、偏光子と同じ方向の光はこの偏光子を透過しますが、偏光子と直角方向に入射した光は偏光子を透過できません。
つまり、偏波方向の回転に応じて偏光子を透過する光の強さ(光強度)が変化します。光ファイバを曲げたり、側圧などの応力を加えたりすると、光強度の変化として検知することができます。
図2 偏光型センサの原理図
構造が単純なこのセンサは、光ファイバ式振動センサとしても利用できます。
たとえば、光ファイバをフェンスや土砂崩壊現場に張っておき、侵入者や土石流などの振動が光ファイバに加わるように構成すると、侵入者や土石流を検知することができます。
また、光ファイバをコイル状に巻いて機械設備に取り付けることで、これらの振動を計測することもできます。
さらに、光の進行方向と同じ方向の磁界を加えることによっても偏波方向が回転する現象(ファラデー効果)がありますので、電流センサとしても利用されています。
また、この方法は光通話機にも応用されています。
光ファイバを切断せずに、クリップタイプの加振機で光ファイバを挟みます。マイクからの音声をクリップ型の加振機に加えると、加振機の振動に応じて、光ファイバ内部の光の偏波方向が変化します。これを受信側の偏光子で光強度に変換してアンプなどで増幅すると音声として復調されます。