施工保守編<その1>
01_光ファイバセンサシステムの施工で注意する点<1>
工業技術としてはシステムが実際に設置され、計測目的を実現して初めて実用化されたといえます。施工・保守は工業技術の実用化を目指すためには充分に検討すべき項目です。計測目的を達成するためには、それに合わせた施工・保守技術が不可欠です。逆に、適切な施工・保守を実現するためには設計要素を含めた関連事項を理解することも必要なのです。比較的新しいセンサシステムである光ファイバセンサシステムの実用化を図るためには、従来の施工技術はもちろんですが、新たに理解すべき事項もあります。光ファイバセンサシステムの施工や保守については従来の光通信システムを基本にしていますが、光ファイバをセンサとして利用していますので、考慮しなければならない点があります。まず施工・保守を検討する場合の留意事項をまとめ、加えて光ファイバセンサシステムで特有の理解すべき概念を本章で紹介します。
光ファイバセンサシステムは、センサ、計測器、情報処理部、伝送路と計測対象により構成されています(図1)。そして、各構成部には様々な部材が使用されています。主な部材を表1に示します。
図1 光ファイバセンサシステムの構成要素
表1 光ファイバセンサシステムに使用される主な部材
施工する場所により環境特性は異なりますので、それによって使用する部材の環境特性を考慮する必要があります。屋外や特殊環境下で使用される部材に関しては、温度変化、腐食性ガス、水分、砂塵、粉塵、鳥虫害、咬害、電気化学的反応や放射線障害に対する耐久性を慎重に検討しておく必要があります(詳しくは4-1-2を参照)。通常、屋内で使用する計測器やPCなどの部材については、空調を必要としています。
また、布設作業管理上は、気象、海象や地象の状況などの作業環境は事前に把握し、作業内容を検討する必要があります。
加えて、光ファイバセンサシステムを使いこなすために、新たに理解しておくべき事項を以下に示します。
(1) センサや計測器の原理を理解して、システムの特徴を把握
(2) 顧客が必要とする情報とセンサおよび計測器の性能調和の確認
(3) センサの耐環境性と保護構造の選択(耐水性、耐ガス性など)
(4) 修理時に必要な日数および新品発注の際の納期
(5) 計測器や伝送用光ファイバへの接続方法の選択(コネクタ、融着など)
(6) 計測対象へのセンサの取り付け方法の確認(特に歪計測の場合)
(7) 校正頻度と内容
(8) 保守点検の頻度と内容
(9) 温度と歪間の相互補正が必要か
(10) 標準センサのインライン設置が必要か(セルフチェック用で、異常を検出した場合、計測対象の異常なのかシステムの異常なのかを即断)