施工保守編<その1>
09_生物による害や自己変質性について考慮すべき事項
生物による害は、咬む行為、巣作り行為や唾液排出などにより発生します。害を起こす生物としては、陸上では鳥虫、鼠やリスなど、海中では貝やサメなどがいます。具体的には、カラスが光ファイバケーブルを噛み切って巣の材料として使用したり、セミがケーブル被覆内に卵を産みつけて孵化することによりケーブルに曲がりが発生し伝送損失が大きくなり計測が出来なくなったりする例があります。対策を取った部材やセンサの採用や、防護柵などを設置することで対応する必要があります。鳥虫、鼠やリスなどに対しては経験済みの対策がありますのでメーカーと検討して下さい。
部材はこれまで述べてきた化学的反応、力学的反応、物理的反応や生物による害がなくても自己変質が生じる場合があります。その原因は、部材は高温、高圧や強い力で急激に処理を受けた工業的加工品であり、必ず内部に、成分、組織や応力に関する不均一性を残しているからです。すなわち、時間経過につれて部材は内部的な不均一性を解消しようと変質します。金属における時硬現象、ガラスなどのアモルファスの結晶化、高分子有機材料の低分子化、高温状態や高圧状態で安定している材料組織の常温、常圧における過冷や過圧組織の残存などが挙げられます。放射性物質の崩壊現象もこの1つです。
カラスの巣作り セミの卵の産みつけ
図1 生物による害の例