基礎編<その3>
23_PNCRはどのように計測を行いますか
機能的にOTDR (Optical Time Domain Reflectometry)と似ていますが、1対の反射光量の比を計測するところに特徴がありセンサ用途に適しています。
図1 相関型OTDRのブロック図
図1にPNCRの原型となる光ファイバセンサシステムのブロック図を示します。従来の OTDRと異なり、パルス発生器の代わりにPN信号発生器、信号処理回路として相関器を備えています。
PN信号でレーザを変調して幹線光ファイバに送出し、センサから戻った信号と元のPN信号との相関をとることにより、センサまでの距離とセンサからの反射強度を同時に計測することができます。
さらに、相関には平均化処理も同時におこなう機能があり、高いS/N比を得ることができます。
PNCRとはこのような相関処理を用いて、物理量によってプッシュプルに変化する1対の反射光量の比を計測する方式です。構成方法の違いによりPNCRにはDWPR、DTR3方式があります。
1.DWPR
(Dual Wavelength Push-pull Retiometric Reflectometry)
光ファイバ端面に蒸着形成した光学的バンドパスフィルタ(BOF:Band-pass filter On Fiber-end)の反射スペクトラムシフトを2波長の反射率比によって求める方式が代表的で、PN信号で波長の異なる2個のレーザを変調します。
2波長の光を合成して送出し、センサから戻ってきた光を分離して計測することにより2波長に対する反射率の比を求めます。DWPRでは反射率の比から温度、圧力、振動、歪が計測できます。図2にDWPRの基本構成を示します。
図2 DWPRセンサシステム
2.DTR^3
(Delayed Transmission/Reflection Ratiometric Reflectometry)
FBG(Fiber Bragg Grating)をセンサとして用いる方式で、反射光を傾斜フィルタに通したときの透過/反射に時間差を設けそのレベル比からブラッグ波長を時間領域で解析するものです。
傾斜フィルタの透過と反射の比を用いるため、経路損失の影響を回避でき、OTDR方式によりセンサを距離差で識別できるため同一波長のFBGを使用することができます。他のFBGインタロゲータ同様、歪、振動、温度が計測できます。図3にDTR3の基本構成を示します。
図3 DTR^3センサシステム